海面は上昇する?
2008 / 06 / 16 ( Mon ) 温暖化で、海面の水位が上がるって本当でしょうか?
先日テレビを見ていたら、ある評論家が 「コップに氷を入れて、水をこぼれるぎりぎりまで注ぐでしょ。氷が解けたときに水はあふれ出しますか?あふれませんよね。こんなことは常識です。温暖化で海面が上がるなんてウソです。」 と言っていました。 いまだにテレビでこんな発言が堂々と流れるのか、とちょっとびっくりしました。 世界の海面水位・・・過去140年 ![]() たしかに海に浮かんだ氷山が、溶けても海面は上がりません。 そもそも、「氷山が溶けて海面が上がる」と言っている科学者・専門家は いません。 海面上昇の原因は別にあります。 海面の上昇は、海水温が上がることで起こる「海水膨張」と、陸の上の「氷床や氷河、氷帽などの融解」(陸上にある氷がとけて海に流れ込む)によって起こります。 この100年で海面は17cm上昇しましたが、要因としては、「海水膨張」が約60%、「氷床、氷河などの融解」が40%弱です。 グリーンランドの氷床の融解が心配されています。 グリーンランドは、面積は日本の約6倍。その85%が氷床で覆われています。 氷床の平均高度は2100m。最大の厚さは3411mです(富士山並み!)。 この20年で、氷床の表面が融解している面積が16%も拡大しています。 もし、グリーンランド氷床の全てが溶けたら、海面は7m上昇します。 南極の氷床が全て溶けた場合は、60m上昇です。 ただ、コロラド大学の極地・高山研究所の発表では、 現時点では、氷床よりも、山の斜面などに万年雪が圧縮されてできる「氷河」や、高山の山頂付近にある「氷冠」の融解が、海面上昇の要因としては大きいようです。 この10年ほどでアフリカのキリマンジャロ山の氷冠、アンデスやヒマラヤなどの氷河など、世界中で氷河や氷冠の融解・縮小が観測されています。 現在の海面上昇の寄与度は、 ・ グリーンランド氷床の融解・・・28% ・ 南極氷床の融解・・・12% ・ 氷河、氷冠の融解・・・60% です。 では、海面が上昇するとどんなことが起こるのでしょうか? IPCCは、今世紀中に1m近い海面上昇の可能性があることを指摘しています。 1m海面が上がった場合、 マーシャル諸島、ツバル諸島、モルティブ諸島、フィジー諸島などは水没するか、居住不可能になります。 バングラデシュでは、国土の18%が海に沈み、エジプトやナイジェリアの河口デルタ地帯が水没します。バングラデシュで1300万人、エジプトやベトナムでは1000万人近くが移住しなければならなくなります。 人口密度が高く、穀倉地帯でもあるこれらの低地デルタ地帯が沈めば、大量の難民と飢餓が広がります。 危険にさらされる大都市は、 カルカッタ(インド)、ジャカルタ(インドネシア)、東京・神戸・大阪(日本)、上海・天津(中国)、カラチ(ナイジェリア)、バンコク(タイ)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)、リオデジャネイロ(ブラジル)、NY・ロサンゼルス(米国)、などが指摘されています。 日本では、1mの海面上昇で、410万人の居住地が海抜以下となります。(面積は2339平方キロです) 1m海面上昇したときの、海抜以下地帯・・・東京付近 ![]() 1m海面上昇したときの、海抜以下地帯・・・大阪付近 ![]() 海は膨大ですから、海面上昇は、気温上昇のスピードに比べてゆっくりですが、その影響は深刻です。 スポンサーサイト
テーマ:環境・資源・エネルギー - ジャンル:政治・経済 |
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